第72回選手権 1回戦

TEAM

1

2

3

4

5

6

7

8

9

 

TOTAL

関東一(東東京)

 

平 安(京 都)

×

 

【コメント】
16年ぶりに夏の甲子園に登場の平安高校。かたや関東一高はこの大会までの数年間で甲子園強豪高の名をとどろかせ、この大会も優勝候補も関東一高。圧倒的に関東一高有利だった下馬評は覆した結果には驚かされましたが、この試合は3度走者を刺した松岡の肩と、その松岡が逆転本塁打と、松岡一人が一際存在感を示した試合でした。
【資料概要】
制作 NHK、実況:杉林 昇、解説:藤田 正樹。
【試合概略】

平安の先発は2年生左腕:西村。関東一は山崎。西村はオーソドックスな左腕。イメージ的には北陽:嘉勢(オリックス)に似ています。山崎は全身躍動感に溢れ、スライダーの切れが素晴らしい投手です。

1回の表:関東一は先頭の竹山が三ゴロ。二番:横田は死球で、3番:山崎がカウント2−2から外角低めのストレートにちょこんとバットを合わせると打球はライト前に。一塁ランナー横田が好走塁で1死1,3塁。ここで高校通算33本の本塁打を放っている関東一高:4番山本。ここは西村が踏ん張り、カウント2−3から外角低めにカーブを決め、山本が三振。この時に一走:山崎が盗塁死し、三振ゲッツー。関東一高、大きなチャンスを逃しました。この1回のチャンスに関東一高が点を入れていたら、展開は変わっていたと思います。しかし、この三振ゲッツー時の一走:山崎が盗塁はセーフでしたね。審判の立ち位置が悪かった...

1回裏、平安の攻撃は1番:手塚が三ゴロ、2番:岩崎は右飛。3番:松岡は高めのストレーとに手を出すも、三ゴロ。簡単に三者凡退。


2回表、関東一高は5番:栗田から。西村の2球目、真ん中にスーッと入ってくるスライダーを振り抜き、ショート右を抜ける左中間2塁打。続く6番:佐藤は送らず三振。1死2塁となり、7番:長久保は強引に引っ張り遊ゴロ。関東一高はまずい攻めでランナーを薦めることすら出来ず、嫌な雰囲気だったと思いますが、8番:岡本のカウント2−2からの6球目に長久保が盗塁。平安捕手:松岡が外角カーブのワンバンドを上手く捕球し、スナップで三塁へ送球するがこれが大きく三遊間の方向にずれて、レフト前に転がり、関東一高が先制。この次の投球を岡本が三塁強襲の2塁打を放ち、流れは関東一高でしたが、9番:前田が中飛でチェンジ。平安が踏ん張りました。

2回裏、先頭は4番の山中から。カウント0−3となったが山崎が踏ん張り三振。5番:伊達は内角高めのボール球を避けるように打ち、一邪飛。身体の向きとは反対方に打球が飛びました。6番:山本も初球を叩き、二ゴロ。この打球は関東一:二塁手の横田が二遊間の深い位置で好プレイで、左打者の山本の足も及びませんでした。 


3回表、1番:竹山から。カウント1−2から外角高めを強打すると打球はライナーで右中間に逆風に僅かに押されたかフェンス前で取られアウト。続く横田は2球目の低め直球を叩き、二遊間にヒットかと思われたが、セカンド手塚が上手く回り込み二死。3番:山崎は四球で出塁も、4番:山本が西村のカーブに合わせるようなバッティングでセカンドゴロ。山崎が2塁封殺でチェンジ。

3回裏、平安は7番:笠井から。山崎の2球目真ん中高めをバットを上からかぶせて振り抜いた打球は風にも助けられ、レフトラッキーゾーンに飛び込む同点ホームラン。足技の平安、長打の関東一の攻撃パターンが逆になってしまいました。続く、8番:西村も続けとばかりに内角直球を痛烈にセンター前に運び無死1塁。押せ押せの平安でしたが9番:友廣の犠牲バントはピッチャー:山崎の正面に飛び、1−6−4(ファーストカバー)のダブルプレー。続く、1番:手塚が内角低めをレフト前に転がしてのヒットが生まれただけに惜しいバント失敗でした。結局この回は2番:岩崎が遊ゴロに討ち取られチェンジ。


4回表、5番:栗田から。西村が3球目のカーブをすっぽぬかしてしまい、お尻にあたるデッドボール。続く6番:佐藤はバントかと思われたが、カウントが追い込まれた2−2からエンドラン。打球は三遊間を緩く転がり、無死1,2塁。ここで7番:長久保はピッチャー前にバント。西村がダッシュよく三塁へ送球。タイミング的には余裕でアウトだったが、サイドスローで三塁に送球したせいか、シュート回転がかかり三塁:山中が数メートルはじき。無死満塁に。関東一はこのチャンスに強行。8番:岡本が2球目のカーブを見事にレフト前に弾き返し、3−1。3点目はクロスプレイも僅かに佐藤の足が本塁に入ってました。更に関東一は無死1,2塁。一気に関東一のチャンスだったが、2塁走者:長久保が飛び出し挟殺アウト。平安:松岡捕手の強健が光りました。このプレイで西村が生き返ったか、9番:前田、1番:竹山を連続三振。関東一はビックイニングのチャンスを逃しました。

4回裏、3番:松岡からの好打順。しかし、ここは関東一:山崎がうま〜く相手を交わす投球で、松岡を三ゴロ(このプレイはサード:前田が素晴らしい横っ飛びで好穂)、4番:山中を泳がせセカンドフライ。5番:伊達を遊ゴロで三者凡退に仕留めた。


5回表は2番:横田から。前の回から吹っ切れた感のある西村は、横田を低めに落ちる高速カーブで三振、3番:山崎をもキレの良いカーブを見逃しで三振を取り、これで4者連続三振。4番;山本をどん詰まりのセカンドフライで討ち取り三者凡退。西村は完全に自分のペースをつかんだようです。

5回裏、6番:山本から。初球の内角高めをコンパクトに強振すると、打球はライト前に低いライナー、ライト:長久保がダイビングも取れず2塁打。続く、7番:笠井は一塁前にバント。一塁手:栗田が完全にタッチプレイを忘れた様なプレイで3塁へ送球。タッチが出来ずに野選となり、無死1,3塁のチャンス。ここで西村は強烈なセカンドゴロも併殺。その間に1点が返り2−3と平安が追い上げた。


6回表、5番:栗田から。西村のカーブを巧くレフト線に運んだが、守備範囲内で捕られ一死。6番:佐藤はストレートを左腰にデッドボール。西村はこの日3個目の死球で、一死1塁。7番:長久保の時に佐藤が盗塁も、松岡が素晴らしい肩で刺し2死。しかし、この時の松岡の肩は凄まじい早さでした。打者の長久保、次の投球のカーブを空振り三振。西村の100球目でした。

6回裏、前の回から守備に入った1番:矢田から。カウント2−2から三遊間に転がし、自慢の足で一塁セーフ。関東一:ショート山本もナイスプレイでした。続く2番;岩崎は確実にランナーを送る捕手への犠打。ここで、3番:松岡。一打同点の場面で松岡は3球目の真ん中に入ってくるカーブを振り抜くと打球はあっという間に左中間ラッキーゾンに入る逆転ホームラン。試合は4−3となり、場内は一気に平安ムードに変わりました。


7回表、8番:岡本から。岡本はツーナッシングと追い込まれたが、粘って四球。9番:前田は確実に走者を送りたかったが、投手正面へのバントでランナーが2封。カウント2−3だったので、慌てず確実にストライクボールだけどきちんと転がせなかったのは痛かったのではないでしょうか。打順は1番:竹山に戻り西村はまたしても四球。一死1,2塁とピンチを招くが、ここも平安:松岡の強健が炸裂。バントの構えでリードを多く取っていた2塁ランナーの岡本をゆうゆう刺して、完全に関東一の流れを止めました。

7回裏、山本から。山本は痛烈に一、二塁間を破るヒット。しかし、後続の笠井は三振。西村は痛烈なあたりもまたしても野手の正面。5−4−3でこの日二個目の併殺でチェンジ。


8回表、三番:山崎からの絶好の打順も、山崎は初球を三ゴロ。4番:山本も初球をすくいあげてファーストフライ。5番:栗田も初球攻撃でデンターフライ。なんと3球で攻撃を終わらせしまいました。

この淡泊というか、初球攻撃は場内が平安ムードの為か、関東一が焦ってしまった感がありました。特に関東一には集中力を後半、感じられなかったです。

8回裏、9番:友廣から。関東一:山崎は集中力が切れたか、ストレートの四球。ボールにキレも威力も見られなくなってしまいました。この山崎に対し、平安は1番:矢田が確実に3塁前へ犠牲バント。2番:岩崎は初球の低め直球を痛烈に流すと、打球は一塁手の横をあっという間に抜け、ライト線の2塁打となるタイムリー。5−3とし、ここで山崎をマウンドから引きずり下ろした。交代した関東一の岡本投手はアンダーハンドから威力のあるボールを放り、3番:松岡、4番:山中をそれぞれ、一塁とライトのファールフライに討ち取り、力を見せた。


9回表、意地を見せたい関東一は6番:佐藤から。佐藤は期待に応えセンター前に落ちるヒットで出塁。しかし、7番:長久保がカウント2−3から低めのボール球になるスライダーを空振り三振、この一球は大きかったと思います。こうなると場内は平安の勝利を確信したか、大声援。最後の打者:前田が三塁ゴロに倒れた時の歓声は割れるようでした。

試合終了後は大歓声だった球場が、校歌斉唱時には静寂に変わったのがまた、印象的でしたね。16年振りの校歌を皆、耳を澄ませて聞こうとしたんでしょうね。

2002.2/7


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